(開催報告)2025年4月18日(土) 19時~21時
がん研究における「患者・市民参画:PPI」について学ぶ WEBセミナー

2025年4月18日(金)に「がん研究における『患者・市民参画:PPI』について学ぶ」WEBセミナーが開催されました。本セミナーは、日本癌治療学会/ファイザー医学教育助成金による研究助成プログラム『がん医療に特化したPPI促進のための医療者教育プログラム開発研究』グループ(代表:片山佳代子)が主催し、医師・研究者、がん経験者やそのご家族など、PPIに関心のある多様な方々が参加しました。

開催概要

開催日時:2025年4月18日(金曜日) 19時00分~21時00分
会場::オンライン
主催:日本癌治療学会/ファイザー医学教育助成金「がん患者のためのチーム医療・地域医療連携の推進に対する取り組み」による研究助成プログラム『がん医療に特化したPPI促進のための医療者教育プログラム開発研究』グループ(代表:片山佳代子)
対象者:医師・研究者、がん経験者やそのご家族、PPIに関心のある方

総合司会

渡邊 清高(帝京大学医学部内科学講座腫瘍内科 教授)

登壇者 ※登壇者順

①有賀 悦子 氏(帝京大学医学部緩和医療学講座 主任教授)
『がん研究に患者・市民参画を実現するために患者・市民向け教育カリキュラム開発の研究班の取り組みと成果』 ※参画ー1,2 ELー1

PPIの定義、日本のがん対策推進基本計画での位置づけ、当事者視点(社会モデル、公平性)の重要性、がん研究各段階での活用例について解説がありました。

片山 佳代子 氏(神奈川県立がんセンター臨床研究所がん教育ユニット ユニット長/群馬大学情報学部 准教授)
『医療者向けPPIコンテンツ開発の取り組みと成果』 ※参画ー1 研究ー1

主催グループによる医療者向けPPIコンテンツ開発の取り組みと成果を報告 。医療者へのアンケートで教育・相談システムの必要性を確認し、それに基づいた育成目標と具体的な教育コンテンツ(プロジェクトマネジメント、先行事例、コミュニケーション等)の開発状況の説明がありました。

③佐々木 治一郎 氏(北里大学医学部附属新世紀医療開発センター 教授)
『学術団体(学会)のPPIの取り組みと課題』 ※研究ー2,3 EBー1 ELー1

主要ながん関連学会におけるPPIプログラムの現状と課題を解説 。JSMOや日本癌治療学会での参加型プログラム(臨床試験プロトコール議論、模擬倫理審査会)を紹介し、見せかけのPPI防止に学会の場が有効である意義と、学会員の意識差などの課題について説明がありました。

④手塚 瞬 氏(医薬品医療機器総合機構(PMDA)新薬審査第一部主任専門員/患者参画WGリーダー)
『PMDAの患者参画の取組みと今後の課題・展望』 ※参画ー1,2 ELー1

※動画については、手塚先生のご要望で公開を控えさせていただきました。

⑤眞島 喜幸(NPO法人パンキャンジャパン理事長/一般社団法人日本がん患者フォーラム代表理事/一般社団法人全国がん患者団体連合会理事/一般社団法人日本希少がん患者会ネットワーク理事)
『がん臨床研究における患者市民参画とエンゲージメント(PPI)レベルの評価:新しい評価ツールの開発と日本と欧州の比較』

がん臨床研究における日欧のPPIレベル比較研究の成果を発表19 。独自の評価ツールで日欧の実施状況を調査し、欧州に差はあるものの日本でもPPIが進行中であること、特にインフォームドコンセントや倫理審査で参画が見られる現状を示し、今後の日本のさらなるレベル向上に期待を寄せました。

長谷川 一男(NPO法人肺がん患者の会ワンステップ理事長)
『肺がん領域でのPPIと今後の課題』 ※参画ー1

日本初の患者提案型医師主導治験「奇跡試験」の実現プロセスを、自身の経験や患者会活動を交えながら詳述。患者の切実な声と、研究者、製薬会社を含む「4つの意思」が協力した経緯を紹介し、ミラクルと道のりの二重の意味を持つ革新的な取り組みであったことを強調されました。

質疑応答とまとめ

総合司会の渡邊先生からは、教育プログラムの連携や共通プラットフォームの重要性が改めて強調され、患者視点での研究や改善活動を継続することの大切さを再認識する機会となったことが本セミナーのまとめとして述べられました。

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